■遺言書
親族間の争いを避ける完璧な方法はありません。しかしその争いを少なくする方法はいくつかあります。その中で遺言は、相続争いを未然に防ぐ、または最小限度に抑える効果のあるものです。
遺言書を残しておけば原則その遺言書のとおり相続されることになり、親族間の争いはかなり防げるのです。特に相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合は相続争いになるケースが多いので必ず遺言書を書いておきましょう。
遺言は貴方ができる最後の法律行為です。貴方の最後の意思が遺族に届くのです。 当センターが取り扱った相続でも遺言書があれば相続人間のトラブルを避けられた事例が幾つもあります。
また一度書いた遺言書の内容を変えたいときには新しく遺言書を作成すれば書き換えたことになります。
当センターの標語は、「40歳過ぎれば遺言書を書きましょう」です。
■遺言書の種類
遺言書には普通方式である自筆証書遺言、公正証書遺言および秘密証書遺言と特別方式である死期が迫った人の一般危急時遺言などがあります。最も多い方式が公正証書遺言で次に自筆証書遺言となります。
遺言書の効力はどの方式の遺言書も同じです。複数の遺言書が存在する場合であって、新しい遺言書と古い遺言書が抵触するときは、その抵触部分については新しい遺言書が有効となります。
●自筆証書遺言
一番手軽に作成できるもので、全文を自署し、日付・氏名を入れ、押印することが必要です。ほとんど費用を必要としないので何回も書き直しができます。また内容の秘密保持にも適しています。しかし無効・偽装・変造・滅失・隠匿・未発見のおそれがあり、また家庭裁判所での検認手続きが必要です。
●公正証書遺言
証人2人以上の立会いのもとに公証人が遺言書を作成します。公正証書遺言の原本の保存期間は20年間となっていますが、実際は半永久的に公証人役場が保管しています。
公正証書遺言では偽装・変造等のおそれはなく、また公証人が遺言内容を書くので無効になる心配もなく、それに家庭裁判所での検認の手続きが不要です。
また本人が病気などで外出できない場合は、公証人に出張してもらうことができます。
以上のことから、公正証書遺言には欠点が無いようですが、ただ自筆証書遺言と違って公証人の費用が必要となります。それでも、最も安全確実な遺言方法と言えます。
なお自筆証書遺言も同じく遺言執行者を遺言内容として記載しておくと、遺言内容を現実化する手続きがスムーズに行われるので忘れずに書いておきましょう。 |